当面の間、受付時間を変更させていただく可能性があります。
ご来院前に、当院からの『お知らせ』をご確認下さい。
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「もはや医師は自ら血圧を測定するような時代ではない」
という議論があります。
白衣高血圧という言葉を聞かれたことがあるでしょう。医師や医療従事者の前では緊張して血圧が上がってしまい、普段の血圧とは全く違う値になってしまうことです。このような白衣高血圧をきたしやすい方の血圧を、医師が測定して降圧薬内服の要否を判断したりすると、過剰な治療が増えてしまう可能性があります。
また、1日は24時間ありますが、診察室で医師が血圧を測定するのはそのうちの数十秒です。刻々と変わる血圧を、たった数十秒の測定で判定してしまうのは考えものです。
おおよそこのような議論なのですが、この問題の解決法として家庭血圧、24時間血圧というものが注目されています。これは自動血圧計を使って、家庭で、気軽に、頻回に、血圧を測り血圧を評価する方法です。これなら医師が測定するよりは緊張しないでしょうし、機種によっては1日中装着したまま頻回に測れるため血圧の変動がよく分かります。最近の自動血圧計は優秀なので、測定のばらつきも小さくなっています。
上記のような事情で、医師は自ら血圧を測ることをやめて、「血圧測定は自動血圧計で」という流れができつつあります。待合室に自動血圧計が置いてあり、診察室では医師は血圧を測らないというところもあります。基本的に私もその方がよいと思っています。よいと思っていますが、しかし・・・。
私はまだ患者さんの血圧は自分で測っています。あるいは余計な緊張を強いているのでは?と時に不安になりながらも測っています。その理由は、自分で血圧を測ることで血圧以外に患者さんについていろいろわかることがあるからです。
マンシェットを腕に巻くため袖をまくってもらうと皮膚の状態が見えます。脈の触れ方や聞こえ方で血圧値や心臓の状態が類推できる場合があります。そして何より、患者さんに触れることで、ああこの患者さんはこんな病気でこんな血圧だったな、こんなに高かったかな?などと思い出したり記憶が作られたりします。これらを考えると、「医師が血圧を測定する弊害」を差し引いても、私にはまだこの時間が貴重だ、と考えてしまうのです。こんな情報がなくてもピタリと正確な診断ができる医者になれればよいのですが、んーなかなかそれが私のようなものには・・・。
というわけで血圧を私が測る以上、白衣高血圧には注意が必要です。血圧の相談に見えた方には、可能なら自動血圧計を買っていただくようお勧めして、ご自宅でも血圧を測ってもらっています。ご負担をお掛けするわけですが、ご協力していただける患者さんが多いのは私にとってありがたいことです。